スポンサーサイト -------- スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(`・ω・´) 2012-02-24 未分類 トラックバック:0コメント:0

【遊郭恋物語~高尾太夫~】第弐話【裏返し】



登場人物(♂3:♀3) 所要時間約25分

●高尾太夫(たかおたゆう)♀
●久蔵(きゅうぞう)♂
●弥介(やすけ)♂
●富(藤紫)♀
●吉平(きっぺい)♂
●おりん♀




第弐話【裏返し】

藤紫   2回目のお越し真にありがとうございんす
     わっちら遊女にとっては【裏を返す】と言いんす
     さてさて、初めて二人が会った日より染め屋久蔵は前にも増して働くようになりんした
     来年の弥生15日に高尾が嫁に来てくれると言うことを信じて
     しかし高尾太夫の方はそうはいきんせん
     三浦屋の方に高尾の客の大名、阿部伊周より身請けの話が来ておりんした
     二人の恋の行方はどうなるんでありんしょう



【神田 紺屋】

弥介   だから言っただろうが、そんな口約束信じるなって

久蔵   花魁は指切りまでして誓おうと言ってくれたんだ!

弥介   良く言うだろ?「遊女に真なし」って
     あっちも好きだ、こっちも愛してるって言うのが仕事なんだろうが

久蔵   だけど…

弥介   だいたい身請けの先も五十万石の大名だろ?
     今までの借金もなくしてくれて、行った先では贅沢三昧
     遊女なんてそんなもんだっつーの

久蔵   本当に花魁は身請けされちまうんだろうか…

弥介   さぁな、でもお前は真面目すぎるんだよ
     これも勉強のうちだと思えって

     これで良いんだよ
     傷は浅い方が良い

久蔵   弥介?お前…

りん   こんにちわ~!久蔵さんいらっしゃいます!?

弥介   げっ!お嬢

りん   あっ弥介さん!またここで、怠けてたんですね
     駄目ですよ、着物問屋は暇なわけじゃないんですからね

弥介   はいはい

久蔵   いらっしゃい、おりんちゃん今日も儲かってるかい?

りん   儲かってますよ
     この前久蔵さんが染めた布がとっても評判良くって、たくさん売れてるんです!!

久蔵   ああ、ありがとう・・・
     あの色なぁ・・・

りん   あの色合い、とってもいいですよね

久蔵   (ぼそっと)似合うかなぁ…って

りん   ・・・うぅ

弥介   ぷ

りん   何よ弥介さん!!

弥介   いや、なんでもないが、お嬢は用事があったんじゃないのか?

りん   そうよ!!頼んでた布をもらいに来たの!!

弥介   そんなの他の使用人に言えばいいだろうに

りん   私が来たかったの!!

久蔵   他に働いてる人達も忙しかったのかい?

りん   うぅう…

弥介   ほーら、お嬢これから吉原に行くんだろう?

久蔵   吉原に…?

りん   花魁達に頼まれた着物を届けに行くんです
     着飾るのが商売だなんて花魁なんて良いお仕事ですよね?

久蔵   …そういう人たちばっかりじゃないんだよ、おりんちゃん
     
りん   でも…お金で体を売ってるんでしょう!?

久蔵   ああ、頼まれた布だったね
     すぐ持ってくるよ

りん   ああーーーーーーーー!!久蔵さんはあの女のことばかり

弥介   お嬢、あんまり言ってやんなさんな

りん   私の方がずっと前から好きだったのに!!

弥介   それこそ、せん無きことだろう?
     誰かが誰かを思う気持なんて止められるもんじゃねーよ

りん   花魁なんて…金でその思いを売ってるわけでしょ!?
     ただのけがらわしい女じゃないっ!!

弥介   それはお嬢がそういう立場じゃなかったから言えることだ

りん   …っ

弥介   あいつらは売られたり借金の形に地獄に落ちた女たちだ
     でもそんな泥の中でも誰かに摘まれようと蓮のように咲こうとしてるだけなのさ
     お嬢からみたらただの身売りかもしれねぇが
     お嬢に彼女らを馬鹿にする権利はねぇ

りん   …ごめんなさい

弥介   わかったならいいんだ
     あーでもなぁ…。その久蔵の好いてる相手が身請けされちまうって話だからなー
     
りん   身請けって何?

弥介   見世にある借金を全部返済して、家に受け入れるってことだ
     まぁ独占するってこったな

りん   つまり愛人にってこと?

弥介   そういうこと
     お嬢にもまだ望みはあるかもな

りん   そっか…うん。望みはあるよね!

久蔵   望み?なにか願い事でもあるのかい?

りん   久蔵さん!!別になんでもないですよ~

久蔵   おりんちゃんも年頃だからなぁ。はい頼まれてた紺染め

りん   わぁ!良い色!さすが久蔵さん。おっ父さんも褒めてたのよ

久蔵   着物問屋の店主がかい。それは嬉しいことだ

弥介   お嬢、俺はどうだい?

りん   弥介さんは、うちで働いてる人達の中でよく働くけど女遊びが激しい、って言ってたわよ

弥介   失敬な。女性を愛するのは当然のことだろうが

久蔵   度が過ぎるってことだ。…ん?
     弥介、お前は身を固めようとしたことはないのか?

弥介   いいんだよ、そんなことは
     それより、お嬢いいのかい?こんなにのんびりしてて

りん   あ!もう行かなきゃ!!
     ほら、弥介さんも一緒に!

弥介   はいはい

久蔵   ああ、またいつでもおいで
     
りん   はぁーい





りん   よし!ここが遊郭三浦屋ね!「いざ、参らん。敵は三浦屋に在り」よ

弥介   お嬢、今日は旦那様の代わりに着物を届けに来ただけなんだぞ
     誰も戦おうなんてことは…

りん   すーみーまーせーん!!神田の着物問屋でーーーーーーーす!

弥介   聞いちゃいねぇよ…

りん   頼まれていた着物届けに参りました!!

吉平   ああ、いらっしゃいませ。使い、ご苦労さまでございます
     …申し訳ないのですが、少々お待ちくださるでしょうか?

りん   はぁ

弥介   どうかなさったのですか?

吉平   …只今店主が不在でして、それに問題ごとがたてこんでおりまして…

弥介   問題ごと?

吉平   ええ。ですので奥の間でお待ちして…

富    離してよ!!私はこんなとこ来たくなかったの!!遊女なんてまっぴら!!

吉平   お黙りなさい!あなたはここに売られてきたんです
     その借金を返すために働くのは当然です

富    男に体売ってまですることなの!?

吉平   それが吉原です

富    帰してよ!私を家に帰して!!

吉平   どこに帰ると言うのです?あなたは父親に売られてきたのですよ

富    ふ…ぐす(泣き始める)

りん   (こそっと)どういうこと?

弥介   親に売られてきたと言うことさ

りん   そんな!むりやり!?

弥介   そういう娘たちばかりなんだよ、ここは…
     しかし、ああいう気の強い子だとここでは辛いだろうに

りん   ……

高尾   どうしたでありんすか?いたく騒々しい

吉平   太夫!!

弥介   (小声で)あれが高尾花魁だよ

りん   …………ぅ

弥介   お嬢?

りん   …綺麗な人

弥介   ぷ。まぁこの見世一番の花魁だからな

高尾   その娘はどうしたでありんすか?

吉平   本日売られてきた娘なんですが、花魁になりたくないと駄々をこねるもので…

富    帰してよ!私は体なんて売りたくない!!

高尾   では帰りなんし

富    えっ!?

高尾   吉平、この娘を帰してやりんなし。

吉平   花魁!お戯れがすぎます!!

高尾   ただし買った分の金はきちんと返してもらいに行きんなまし

富    そんな!!そんなことになったらみんなおまんま食べれなくなって飢え死にしちまう!!

高尾   甘えなさんな!
     お前さまだけがそんな不運だとお思いでありんすか?

高尾   ここの娘たちは親兄弟に売られてきた者ばかりでありんす

富    私は…私は……

高尾   でも思いなんし
     お前さまは、お前様の体で親兄弟を食わせてやることができるのでありんす

富    …え?

高尾   ここに売られたかぎり辛いこともありんしょう
     好いた男もいないうちから、名も知らない男に抱かれることもありんしょう

高尾   でも思いなんし
     お前さまがいたから家族はおまんま、たらふく食べれると言うことに

富    みんなひもじい思いはしなくていいの?

高尾   誇りに思いなんし。それがお前様の価値でありんす

富    …わかった

高尾   「わかったでありんす」

富    …わかったでありんす

高尾   良い子でありんすなぁ。お前さま、名前は?

富    とみ…

高尾   とみと言うと富士の山でとみでありんすか?

富    そう!心が富むようにっておっかさんがつけてくれたんだ

高尾   ふ…ふふふ、ほほほ。ほほほほほっ
     富士の山のとみか、これは良いでありんす

高尾   吉平、この娘をわっちの禿(かむろ)につけておくんなまし

吉平   花魁!?そんな、とうのたった娘など…

富    禿って?

高尾   わっちの妹分になることでありんす
     わっちの着付けの手伝いや、荷物持ちが仕事でありんす
     そして姐のわっちが花魁になるすべを教えるんす

富    はっはい!!わかったでありんす!

高尾   富士の山のようにおなりなさい。高尾の山よりもっともっと高く
     この国の一番であるように、この吉原で誰よりもすばらしい花魁になれるように

     とみ、新しいお前さまの名前をあげんしょう

富    どうして?

高尾   これからのお前さまは今までのとみではないのでありんす
     辛いことがあっても本当のお前さまと違うと思えば耐えられましょう
     本当のお前さまが帰ってくるのはここから出た時でありんす

     お前さまはこれから藤紫と名乗りなんし
     富士の山から頂き、藤の花のように咲き誇りなまし
     そして…

富    そして…?

高尾   かの「光る君」が永久に愛した女性、藤壺の方のように、誰かの一番になれるように

富    ありがとうございます!!

高尾   「ありがとうございんす」

富    ありがとうございんす!!

高尾   吉平、よいでありんすな?

吉平   …まったく、花魁は……
     (りんたちを見て)ああ、すみませぬ。お待たせしてしまい申し訳ありません

弥介   いえいえ

高尾   あら、旦那様は確か、久蔵さまのご友人の…

弥介   ああ、以前はどうも
     でも今日は神田の着物問屋の使いです

高尾   そうでありんしたか。では是非またお越しくださるのを心より楽しみにしておりんす

弥介   (にやにやしながら)はい~

りん   ちょっと!

高尾   …こちらのお嬢様は?

りん   あっちにもこっちにも同じこと言ってるのね、あなたって!

弥介   お嬢

りん   そうやって久蔵さんのこともたぶらかしたの!?

高尾   久蔵さんのことをご存知でありんすか?

りん   知っててもあなたには関係ないわよ!もう身請けされるんでしょう!?

高尾   身請け?

りん   妾(めかけ)になる身でありながら、久蔵さんをたぶらかさないで!!

高尾   わっちが身請け…でありんすか?

りん   とぼけないでよ!!

高尾   吉平、どういうことでありんすか?わっちに身請け話が出てるなど初耳でありんすが

吉平   ………ぁ

高尾   吉平、親父様はどこでありんすか?
     人を待たせるまでの用事とはなんでありんしょう

吉平   ……店主は阿部さまの所であります

高尾   阿部様の?

吉平   …阿部様から再三のお呼びがかかっておりまして

高尾   それは、わっちの身請け話のことでありんすか?

吉平   …………

高尾   吉平

吉平   …おそらく

高尾   そうでありんすか
     藤紫、部屋に帰りんしょう

りん   ねえ!なんで何も言い返さないの?

高尾   わっちの体はわっちの物ではないからでありんす

りん   それって身請けを認めるってこと?

高尾   言葉よりも態度で示すものでありんしょう



高尾退場



りん   いったいどういうこと…

弥介   まあ、身請け先が本当の金持ち、お大尽様だってことだろう?
     そっちを選んだってことだけだ
     これで久蔵も目が覚めるだろよ…

りん   でも…

弥介   「遊女に真なし」惚れた腫れたは野暮ってことだ




藤紫   やっとわっちの正体もわかった所でありんすが、そろそろ明け鴉が鳴くお時間でありんす
     気持ちを確かめ合ったと思った二人でありんしたが、目の前にはだかる身請けと言う壁
     来年の弥生15日、本当に二人はお会いすることができるのでありんしょうか?
     次で馴染みの三度目、ではまたのお越しをお待ちしておりんす

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック URL
http://papata.blog.fc2.com/tb.php/43-723e0926
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。